特集  電動スタント機の調整  その1

日本選手権に向け、電動スタント機調整を特集 


果たしてマトモに飛ぶのか?


お願い、良く飛んでチョ〜だい


地雷踏むのは馴れっこですが・・・・・今回の地雷は相当なモンだw
こうなったら、地雷撤去でGO〜〜




ようやく本腰入れて電動スタントに取り組みます
初めて電動スタント飛ばしてから、はや6年以上も経ってしまいましたw
途中、エンジンー電動を行き来しながら問題の本質を探ってきました
サイサやプロペラ・エレクト、胴体バランスと上下重心位置の関係など各種キーワードが分り
問題解決への道筋が・・・見えそう
電動はエンジンに比べイマイチ感がありますが、一気に払拭できるようガンバリますっせ


電動の利点


デジタル制御ゆえ、エンジンのような神経質さが無い
音が静か(欠点でもある)ゆえ、都市部で飛行可能
正・逆回転の切り替えや、双発制御が可能
タイムオーバーが絶対にない
エンジンのように始動しなくなるコトがない
機体調整が楽、例えば1分単位で飛行を繰り返しながら短時間かつ重点的に調整が可能
燃料が無くなるまで待つ必要が無い
練習メニューが組める、例えば離陸してアワーグラスを連続で練習することができる
エンジンのように燃料液面の高さによる出力変化無いため、F2Bを通して練習する必要がない
苦手部分を重点的に練習できる
日進月歩で電池や制御系が進歩している


などなど、電動の利点は数多くあります



電動の欠点



ハッキリ言って良く飛ばない、ブッチャケ、飛ばし難い、パワー入れると水平飛行しない
最初の頃は目新しさがありましたが、見ていてツマラナイ
最大の欠点は、パワー漲る電動フライトが出来ないコト
エンジンのようなドラマチックなパフォーマンスが表現し難い
エンジンの官能的な響きが無いため、注目を集められない
初めは面白くても、エンジンに比べ趣味性が低い
保守的なF2B競技人種と合わない、電動の可能性が引き出されていない・・・


批判ではありませんよ
エンジン大好き・電動大好き・Uコン大好きw
RCは電動の可能性が大きく引き出されていますが、Uコンは未開拓状態・・・
エンジンをモーターに換装するコトだけに執着し過ぎてきたのかも・・・
ルール上でも電動が若干不利なのも気になる


問題点を整理しましょう!



ナンでプロペラ回すだけで違いが出るの?


全ての問題はこの一点に集約します
エンジンは単気筒の2サイクルが主流、電動はデジタル制御の多極ブラシレス・モーターですわ
回転する構造としてはブラシレス・モーターが圧倒的に優位


失敗例を挙げてみると


全てパワーUPによるデス・スパイラル


電動は非力に見える
つうか、パワーを上げられないのよ
パワーを上げると、操縦性が極端に悪化する
手に負えない、練習云々の問題じゃない
パワーを下げると、ドンドン飛ばし易くなりますが、見た目が悪くなるw
パイロットはイイと感じても、傍から見ると非力に見える
当然ながら、風にも弱くなる・・・
去年のKMAに電動ノーブラーで参加しました
1Rは無風でイイ感じでしたが、午後の2Rは風が強くなった・・・
そうなるとパワーを上げたくなるのが人情でして・・・
止めればイイのに、2%だけパワーを上げましたw
デス・スパイラルの始まりですw
パワーがチョイUPしたのはOKですが・・・、過負荷になった
過負荷になると、負荷が抜ければ(パワーUP)加速が始まる
強風と相まって操縦性が極端に悪化、宙返りはデカクなり、加速して接地寸前・・・
F2B通してカタチにするのがヤット(ほとんどメチャクチャw)


後日、過負荷を解消するためにデカ・モーターに替えた・・・



ご愁傷様、デス・スパイラルはいっそう急峻になり
水平ではイイ感じでパワーUPしたんですが・・・操縦性はデス悪化
調子こいてイキナリF2Bやったら、ナンと宙返りで地面に激突!
コッパ終了w


エンジンでは有効なスピンナー・ウエイトが殆ど効かない・・・・


つうか、あるポイントを境に急激にサイサが出て手に負えない・・・
軽量なクランクシャフトが如何に有効か思い知らされるw



ブッチャケ、このまま進んでもダメだ!



エンジンでは考えられない壁が電動にはあり、立ち塞がっている!



この壁をブチ破りたい!
電動が最もオモロイのはココなんよ



間違いだった? モーター選定



パワーを上げると(回転数を上げる)と操縦性が破綻


デカ・モーターはボツ!


重いアウター・ローターは特にダメ
回転上昇でサイサが急激に表れ、操縦性が一気に破綻する
できるだけ小さなアウター・ローター(軽量)を選び、低回転で使用すればOK


低回転・大パワーを目指す


言うは易し、行なうは難たし


エンジンから換装を主体に電動化が進んできたため
モーターならではと言う設定がムズイ
機体もすべてエンジン機から派生している
ブッチャケ、同じ回転数ならエンジンが有利!
エンジン機にモーター積んでも、エンジン機に敵わない
この考え方で行くと電動に可能性が無くなる・・・
そんなコトありゃしませんよ
電動は面白いw



ナンだかネェ〜〜、このモーターじゃ前と変わらないどころか、ヤバクね・・・・
失敗を重ねると、勘が働くようになるw

土壇場でモーターを交換しました

GT2826/06へ交換
GT3526/05より90gも軽いのに、KV値は同じ、3〜5セルも同じ
35mmローターとしては、かなり強力、見た目はかなり小さい
デカ・モーターはサイサが厄介、スピンナー・ウエイトにも限界があるw
ストレガはかなりデカイ、エンジンなら60パイプでビンビン回したいレベル
かと言って、デカ・モーター付ければサイサの餌食になる
半日悩みましたが、過去と同じコトすれば同じ結果になるw
GT2826/06は見た目40〜45クラスと同等ですが、スペックはかなり優秀
175gの小型モーターで2300gの機体が飛ぶか心配ですが・・・・
あえて交換しましたw(バクチよ)


ハヤブサのモーターもボツ!


どうやら、ハヤブサのモーター選定はじめ電圧設定も間違いのようだw
電圧優先、ペラ優先、機体の大きさ優先に拘り過ぎた・・・
モーターとリポを再考すれば、機体の軽量化を含め3500gはクリアできるかもしれない・・・
機体重量は3500gとすれば、3500gが飛ぶパワーがあれば十分だと気付いた
モーターは半分の重量、リポの電圧を下げ、機体に穴開けて軽量化・・・
選手権には間に合いませんが、シーズン後半に向け大きな希望が出てきたw





飛行調整開始!


モーター交換はかなり効いたゼ、エエ感じやw
電動は凄い、175gのモーターが巨大な機体を引張り上げるよ
電動スタント機のモーターには「余裕」は要らない、ギリギリ目一杯頑張ってナンボ
ちなみに、90gのスピンナー・ウエイトからスタート


飛行時間1分から始めます
リポも新品ゆえ、慣らしも含めてスロースタート・・・・
最近、落しグセが憑いているので用心しながら


水平安定の調整


まずは水平安定の調整、同時に主翼の傾きに注目します
水平安定は操縦ではありません(ハンドルは動かしません)機体調整で決まります
クルマの直進安定性と同じと考えてください
ハンドルを動かさない時、真っ直ぐ飛ぶように調整します


水平安定はプロペラ・サイサで決まります


ハンドルを動かさない以上、機体で動いているのはプロペラですわ
プロペラ軸が何らかのキッカケでスリコギ運動(サイサ)が始まれば、フラ〜〜フラ〜〜が始まる
機体の重心位置や胴体バランスは関係ありません
ちなみに、スリコギ運動が始まると抑えることができません(地球のサイサと同じ)
機体が水平に飛ぼうとする自立性がサイサを抑える唯一の力なんですが
サイサが治まるまでフラ〜〜フラ〜〜が続く、ベテランは必死に逆舵を入れて誤魔化しますw
無風ではサイサが起きるキッカケが無いため、安定していますが
そよ風がプロペラに当たるだけで、長周期サイサが始まるw



サイサは程度によりますが、スピンナー・ウエイトで解決します


ちなみに、ガルーダはスピンナー・ウエイトで救われましたw
その昔、「コレ、水平に飛ばないの?」とまで言われましたが
最近の大会では、背面9点が普通になりましたw
もちろん、ハンドルは持っているだけ、背面に操縦テクは要りません


もう少し詳しく書くと
ペラやスピンナー、回転数を変えても水平安定は変わります
つまり、水平安定はプロペラ回転部分に依存しているのです
エンジンの場合、絶妙な調整でサイサが最も少なくなるポイントを探します
ブッチャケ、サイサが最も少なくなるポイントが最も良く飛び
エンジンの場合、音まで変ります(滑らかで官能的なサウンドになる)


電動の場合、アウターローターがあまりにも重いゆえ
サイサが顕著に出やすいため、スピンナー・ウエイトで調整を追い込みます



スピンナー・ウエイトの作り方



大きめのステンレスお玉にクズ鉛(クズ鉄屋で購入)を溶かし、浮いたゴミをさらいます
ニードルスピンナ(長いヤツがエエ)の先端に流し込みます


こんなカンジで固まります
接着はセメダイン・スーパーX等で行います



重量を記録して水平安定をチェックします
ウエイトを外す時は、逆さにしてトーチで炙れば外れます
ウエイトを増減して不動の水平安定域を探します


水平安定は背面でチェック


正面水平がOKになったら、背面でチェックします
正面水平の場合、プロペラ・エレクトにより浮き上がろうとする力と長周期サイサが同期します
重力とは逆方向のため、スピンナーウエイトにより水平安定は出し易くなる
水平でOKでも背面ではスピンナー・ウエイトが足りなくなる
プロペラ・エレクトと重力が同一方向になる背面飛行は沈み易く
僅かなサイサで水平安定が乱れやすい(沈む方向から始まる)


単調ですが、短時間水平飛行を繰り返しウエイト調整を数グラム単位まで追い込みます
暇なので、水平・背面の高度が完全に一致するまでハンドル・ニュートラルを追い込みます
無意識にハンドルを持っているだけで高度が揃うように・・・・
しかしながら、コレは暫定調整でしかありません
この後、正宙・逆宙の大きさ揃えの調整でエレベータートリムを弄るので最終的なニュートラルはその後


サイサ調整が終わらないままパターン練習をしても無駄です
なぜなら、サイサ調整で機体の操縦性はゴロゴロ変わるため練習にならない
ブッチャケ、プロペラ選びに苦心されるのと同じ
プロペラが決まらないのにパターン練習しても不毛なのと同じ
スピンナー・ウエイト調整はプロペラ選びより遥かに飛行性能が変わります
最も、飛行時間1分ではパターン練習にはならないw



悩ましいウエイト調整


大まかなウエイトが決まったら、最後は各種ワッシャーを組合わせて微妙な調整をします
ベスト・ポイントに近付くと、震動が消え、回転音が澄んできますw
「ナンでよ」ワッシャー1枚で操縦性が変化して笑えますよ
Uコンの奥深さを実感できますw



電動サイサは悩ましく厄介
モーター・パワーを上げると、サイサがオツリとして戻ってくる
色々やって、マアマアかな?
パターン練習始めたら、大きい・・・良く考えたらワイヤーが短いとワガッタ
機体が大きいゆえ、ライン・トータルで20M位かな
非力電動じゃなく、サクサク、パワフルに行きたいガナ
ワイヤー作り変えてパワー上げたら(+2%)、振り出しに戻ったw


サイサが強くなり、プロペラ・エレクトも加わり、ダウンが効きにくい


電動迷宮への入口
ブッチャケ、水平安定が悪くなって正・逆宙の大きさが揃わないw
エンジンの場合、低負荷でイチバン気持ち良く回るポイントは一点だけなので
パワー設定はあまり悩みません、ブッチャケ、主導権はエンジン側にある
エンジン回せば自動的に決まってしまう
笑い噺じゃありませんが、ガルーダの回転数を測ったことは一度も無い
音聴いて飛ばしてイチバン・パワーが出る処にしただけw
「エエ感じ」ならOK

ところが、電動はファジーなんよ
もちろん、過負荷じゃダメだけど、最適値ってナニ?と言われると・・・・
リポの能力による部分も大きく、一概にモーター云々でもない
飛ばし易いポイントを探すと、非力にしか見えない


電動パワーって凄い!


と言わせる飛行をしたいw




UP/DOWNの効き方を揃える



エレベーター・トリム調整の噺に入りますが・・・



トリム量はパワー設定で変わるんよ



パワー設定と同時に小まめに弄る必要があります



UP/DOWNの効き方を揃える基本は機体の上下重心位置で合わせるのが基本



脚やタイヤはバランサーになる


脚部は軽量に越したことはない、言って見れば必要悪、離着陸のためだけに必要・・・・
永年そう考えていましたが、実は違うんですw
重たい脚ほど飛ばし易くなりますw
ウソだと思うなら、脚にウエイト積んでとばしてチョ、スグ分りますよw


プロペラ・エレクトを効果的にキャンセルするためのエンジン倒立であり
機体の低重心化設計は根本思想はUPを弱めDOWNを強くすることにあります
プロペラはクセモノでして、回転数(パワー)によってプロペラ・エレクトは変化します
低重心化は基本ですが、数値化し難い、なぜなら、機体重量(翼面荷重)とエンジン・パワーは変動する
機体製作者のレベルやパイロットの好みが複雑に絡み合うw
オリジナル設計を目指す時、ココが大トロになる


エレベーター・トリム調整はパワー設定で変化


世の中、そうそう理想どおりには行かない
ブッチャケ、理想の上下重心位置を設計上で示すことはできません、大体、この辺かな程度
つうか、理想は妄想でしかなく、必ずエラーが発生する
理想を突き詰めてもエラーが発生する以上、エラー補正は絶対条件になるw


エラー補正じゃダメ出しみたいなので


リアランス調整とでもしましょう!


エレベーター・トリムは機体調整のポイント
正確に製作してもクリアランス調整は必要
つうか、エレベーター・オンリーのUコンではエレベーター・トリム調整は最も重要なポイント
徹底的に調整しましょう



UP/DOWNの効き方はパイロットの感覚を基準に調整します


Uコン操縦とは、結果的にハンドルUP・DOWNをしているだけです
実に単純ですわ
ところが、操縦者によって感じ方が大きく異なる
ブッチャケ、プロペラ回転数が変るだけでUP/DOWNの効き方が変わる
Aさんは「舵が良く効く」と言い、Bさんは「舵が鈍い」と感じるのは普通の出来事
ハンドル操作の定量化は極めて難しいのが現状
言い換えると、他人はどうでもイイんよ、自分自身がどう感じるかが大事!
自分がイメージした大きさに正・逆宙が揃うまで調整しましょう


調整法


バッテン横8の字飛行


周回飛行ではなく、目の前でバッテン横8の字(S字)飛行を行いUP/DOWNの効き方を調べる
UPが強ければ左Sが小さくなり、DOWNが強ければ右Sが小さくなる
10回位連続して行い、機体のクセを確認してエレベーター・トリムを調整します
左右のSが自分の感覚と合うまで調整します
従来の考え方では、UPが強ければ弱く操縦、DOWNが弱ければ強く操縦するのが普通
機体に慣れるための練習が主でしたが、コレは機体を自分の感覚に合わせるための調整
ブッチャケ、機体に慣れる必要は無い、機体を自分に合わせればOK
電動の優位性は調整時に顕著になります
電動はエンストしません、設定した時間・パワーで安定動作するため調整に集中できる



頭上8の字飛行


離陸してスグに頭上8の字に入れます
連続7〜8回行うと、UP/DOWNのクセが分ります
頭上8は重力方向が45〜90度ズレるため、UP/DOWNの差が分り易い
同時にパワーレベルの確認もできます
ココでも電動の優位性が発揮されますw
エンストしないし、ガバナー効いて安定しているので調整に集中できますw
飛行時間を2〜3分にして、集中的に調整、下ろしてトリムを弄り、スグ飛ばして確認する
F2Bが可能なリポなら、2分なら連続3回飛ばせます



ココまでが第一段階の調整



パワー設定・水平安定・正・逆宙の大きさを揃えます


電動はエンジンと違い、マネする前例が殆ど無い
リポやモーターそしてアンプは日進月歩で進化している
ましてや、輝かしい実績のある定番はありません
ブッチャケ、定番を求める人には不向
すべて自分で考え、トラブルを発見・楽しみと捉え「今に見てろ!」と思える人にはピッタリ!
シンプル極まりないUコンですが、プロペラ回す方法がエンジンからモーターに変わっただけで
隠れていたUコンの醍醐味がブリブリw